受精後に伸長するバギニュラ
蘚苔類の造卵器は,短い枝の先端に位置している(頂生という).
受精後,胞子体が伸びる際には,その先端はカリプトラに覆われていて,
繊細な頂端部を乾燥などから保護する役目を果たす.
このカリプトラがどの部位に由来するのか,あるいは胞子体の根本(足)が
造卵器を頂生させていた枝の中にどのように入り込んでいるのか,これは
分類群によってずいぶんと違っていて,時には属内でも様々な変異が見られる
ことがある(例えばリボンゴケ属).
胞子体の足が成長して枝の組織の中に入り込んでゆく際には,枝の方も
同時に成長することがある.胞子体の足を包み込む部位はバギニュラと
よばれるが,特に短枝に造卵器ができている場合,バギニュラが長く伸びる
ことで,通常の枝と変わらないほど伸びることがある.
下に掲載したのは,Symphyodonウニゴケ属(蘚類ウニゴケ科)の雌株.
→が示しているのは受精前の造卵器群で,ごく短い短枝先端に雌苞葉に
囲まれた造卵器がクロっぽく見えている.
左側に伸びているのは,成熟した胞子体の基部の部分.胞子体の柄が
つながる部分は一見すると枝のようだが,ここがバギニュラである.
全長のおよそ半分くらいのところまで,胞子体の足が入り込んでいる.
(足の部分で,配偶体と胞子体の間で栄養の受け渡しが行われている).
このようにバギニュラが伸長するのは,蘚類でごく一般的な現象のようだ.


