10月にあった2つのキノコ観察会のこと
ここにまるごとコピーするのが面倒なので、
もうひとつのブログに掲載したことだけ
記録しておきます。
こんなキノコの本があったよと、奥さんが買ってきてくれたのは、
「月刊 専門料理」 10月号 キノコ 秋の味覚をおいしく仕立てる
柴田書店 1400円+税
巻頭の34頁がキノコに関する特集。
レストランなどで使う食材としてのキノコに焦点を当てています。
ヨーロッパからの輸入物キノコに関する記事が、これまであまり
読んだことがなかったので興味深いです。
秋の頃に、フランスやイタリアの市場(いちば)に行って、どんな
キノコが売られているのか、一度見てみたいです。
本文中にモレーユは日本のアミガサタケと紹介してあるけれど、
これはトガリアミガサタケのことですよね。
大阪自然史博物館で、企画展「きのこのヒミツ」関連のプログラムとして
開催された講座。今日は第一日目で菌類と動物との関わりに関する演題3つ。
「アンモニア菌の世界」 吹春俊光(千葉中央博物館)
「菌食動物とキノコの攻防」 中森泰三(横浜国立大学)
「虫を分解する菌」 出川洋介(筑波大学)
いずれも聞き応え十分の、非常に興味深い内容で大満足。
普段は座って人の話を伺うのは苦手なのだが、今回は時間がたつのも
忘れて、はじめて知る話の数々に聞き入ってしまった。
いくつかトピックを紹介すると、
6月下旬,7月上旬の3回,キノコ観察会をしたのだけれど,
梅雨に入ってからすぐの時期にあまり雨が降らなかったためか
キノコの発生が思わしくない.
ヤマドリタケモドキがちょうど出始めくらいで,夏の女王アカヤマドリは
幼菌が一本だけ.
観察会に来られた方から,あたらしく出たキノコ関係の本を
教えていただいたので,さっそく購入.
「冬虫夏草ハンドブック」 盛口満・安田守 文一総合出版 1400円+税
「きのこの下には死体が眠る!?」 吹春俊光 技術評論社1580円+税
前者は,これまでになくわかりやすく冬虫夏草を解説してある小雑誌.
分量の割に値段が高いと感じるかもしれないが,使いやすさはピカイチ.
なにより冬虫夏草の探し方が書かれているのがグッド.
私もこれを参考に,探しに行ってみよう.
後者は,きのこにまつわるあれこれを,アンモニア菌,キノコの基本体制,
胞子と分散,菌根,分布と外来種,毒キノコ,というキーワードを各章に
あてて書かれていて,とても読みやすい.
アンモニア菌については,相良先生の本が絶版の現状では,
この本が内容の良い紹介になっている.
科学博物館,そしてINAXがだしたパンフ的な本が,私にはあまりおもしろく
なかったので,この2冊はありがたいです.
午前7時半に神戸三田を出発して,10時半頃に鳥取砂丘に到着.
鳥取自動車道が一部開通していて,思っていたよりも早く着くことが出来ました.
(この区間は,現在は通行料がいりません).
砂丘の苔は,水たまりを中心に探してみるも,たいした成果無し.
クロマツのあるところには,ハイゴケとスナゴケが広がっていることを確認したのみ.
ショウロは,案内をしてくださった方のおかげで,とある場所においてたくさん
見ることが出来ました.いくつかはおみやげに.
(国立公園範囲内は植物採集が禁止されていますから,もちろんそこではありません).
砂の上のスナゴケ群落から顔をだしているので,容易に見つけることができます.
日に当たってクリーム色から茶褐色ですが,埋まっている部分は白味が強い色です.
顔を出しているショウロの近くを掘ると,砂の中にごろごろと埋まっているのを見つける
ことができます.
まだ中は白い状態でした.例年よりは少し遅い発生とのこと.
分子系統から,ショウロはヌメリイグチに近いことが分かったのだそうですが,
なるほど生え方がとても似ているように思います.
下の写真は,ショウロをみた場所,顔を出している様子,そして掘り出したところです.
買ったのは,
「きのこ文学大全」 飯沢耕太郎 平凡社新書
著者は,「世界のキノコ切手」を著した人.
今回は,なんらかの形できのこを表している文学を集めた本.
キノコのことを書いた本ではないので,購入前の予想とはちょっと趣が違う.
「考えるキノコ -摩訶不思議ワールド-」 INAX BOOKLET
こちらは読みでがありそうだ.
「きのこ」 指導・絵 高山栄 フレーベル館 だいすきしぜん シリーズ
ちいさな子ども向けのキノコ絵本.大人には少しものたりないかな.
見たキノコの記録
ムラサキシメジ(2カ所)
先日まで雨が降っていなかったからか,いずれも小さいキノコばかり.
スッポンタケ(2カ所)
「卵」の大小で,でてくるキノコの大小が決まるのがおもしろい.
また,これも近頃の小雨のためか,「卵」の表面が亀甲型に凹んでいるのが
目立った.
ヌメリイグチ
これは昨日からの雨のおかげで,「つぼみ」がたくさん出ていた.
(チチアワタケは,ずっと数が少ない.秋口とは逆になっている).
コガネタケ
30本ほどの群落.大きいものでカサの直径が20cmほど.
クリタケ?
はじめてみるので自信なし.カサの縁に綿毛があるのだが.
もしかするとムササビタケかもしれない.
フウセンタケの仲間がいろいろ顔をだしていた.
とくに,ヌメリササタケは初めて.
シロハツモドキの群落が,アカマツの根本,草地のあちこちに
でている.
アミタケには時期が遅すぎるのか,一本もみあたらず.
(オウギタケは数本見つけた).
出残りのハツタケが数本あり.
キツネタケの仲間,クヌギタケの仲間がいくつも.
いずれも名前がわからず.
私の住んでいる三田市近辺の2カ所で,ヌメリイグチに穴をあけて
住み込んでいるハネカクシを調べてみたら,すべてイクチオオキバハネカクシ
でした.
大きなイグチでは十匹ほどが同居しているけれど,どれもみな同じ種類.
図鑑によると,菌食に特化したハネカクシはいくつもの種類があるとのことなので,
来シーズンはもう少しちゃんと調べてみようと思います.
ヌメリイグチごとビニール袋にいれておいたら,ときどき袋の中を飛んでいる
やつがいる.不思議に思ってじーと見ていると,膜質の翅をのばしている.
キノコにもぐるときは,おしりを左右そして上向きに何度も振って
堅い外翅の内側に折りたたんでいる.なるほど,そうやってハネを隠してるのか.
二日ほどほっておいてキノコが腐ってべたべたになると,袋の内側についた水分や
粘液に体がトラップされ,死んでしまう様子.なぜなんだろうか?
昔大きなクロゴキブリにシャンプーをかけて殺したように,
気門がふさがれて窒息するのかしら?
Yujinのガチャガチャ 毒キノコシリーズ 第三弾
いつのまにか発売されていたんですねぇ.うっかりしてました.
で,いろいろとネットで探しまわってようやく購入.
1セット(16種),今回はシークレットもあるらしいのですが,それは高価
なので,通常セットを1500円で2組購入.
シロタマゴテングタケ,ドクツルタケ,ニガクリタケ,クロタマゴテングタケ,
ツルタケダマシ,ワカクサタケ,ヒナノヒガサ,モリノカレバタケ,
ムジナタケ,ワライタケ,オオシビレタケ,トフンタケ,アカタケ,ミドリスギタケ
バライロウラベニイロガワリ,ウツロイイグチ
今回は造形的に変わりものがなく,形も少し小さくなっていて,ちと物足りないかな.
それでも,机の前に第一,第二シリーズと一緒に並べてみると
全部で48個もあっていい眺めです.
毎年今の時期取りに行くハタケシメジのある場所があるが,
今年は昨日の雨ですでに痛み始めていて,収穫するには遅かった!
おとといの土曜日に来ていたら,ちょうどよかったみたい.残念.
ヌメリイグチにいつも穴をあけているハネカクシが
何者だろうと,ネットで調べていて行き当たった,とても参考になる
サイトとPDFで公開されている論文.
「きのこ日和」 菌食性の動物
http://tititake.sakura.ne.jp/
岡部 貴美子「日本における食用きのこの害虫」
http://ss.ffpri.affrc.go.jp/labs/kanko/399-1.pdf
都野展子「京都におけるキノコ食昆虫群集の構造」
http://nels.nii.ac.jp/els/110001881008.pdf;jsessionid=23186AA0B518D38D3FCCD62306C26A5F?id=ART0002056189&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1225002854&cp=
結局,菌食のオオズオオキバハネカクシによく似ているなぁというところで
ギブアップ.
実は,ヌメリイグチにいる虫,気持ち悪くてちゃんとみていませんでした.
こんどはルーペを使ってじっくり観察してみます.大きな牙があるだろうか.
この季節には毒キノコが話題なることが多いが,
実は売られているキノコでさえ,食べ方を間違えると
いろいろと体に障害をもたらすことがあるらしい.
職場の女性が,原木栽培のシイタケを食べて,猛烈に
かゆい皮膚炎にかかったと聞いた.
古くなったのでも食べたのかなぁ?
不思議に思ってネットで検索してみると,なんと
「シイタケ皮膚炎」という,決してめずらしくない病気らしい.
ものすごくたくさんのサイトがヒットする.
シイタケによく火を通さずにたべると,数時間~数日後に、
全身の猛烈な痒みにおそわれ,あまりのかゆさに皮膚を
かきむしり,そのために(?)生じる直線状の紅斑が現れる
のが特徴らしい.
佐賀新聞ニュース 「皮膚科編 シイタケ皮膚炎」
http://www.saga-s.co.jp/life/lifestyle/kenko/2008autumn/11hihuka1.html
件の女性は,2週間たつのにまだかゆくてたまらないという.
うう,私もシイタケが好きだから,ホイル焼きには気をつけよう.
昨日から降り続く雨.その合間に近くの雑木林を覗いてみると,
なにやら落ち葉の間に紫色のキノコがほんのすこしだけ頭をだしている.
手に取ってみると,ムラサキシメジではないか!
嬉しい.学生の時に見てから御無沙汰で,それいらいずっと会いたかった
キノコです.
驚きのあまりカメラを取りに帰るのを忘れてしまい,生えている様子は
残念ながら撮れませんでした.で,紙箱に入れた様子をパチリ.
同定にはあまり自信がありませんが,よく太った軸と紫色のカサの裏を
しているので,たぶんあっているではないかとおもいます.
柄の基部が膨らんでいて,フウセンタケ科のキノコによく似ています.
このあたりにはムラサキフウセンタケもよくでますが,こちらは全体が
濃い紫色(カサの裏は茶色っぽい)で,かなり毒々しい色合いで,
柄もこんなには太くありませんから,間違えることはないと思います.
おととい採ったヌメリイグチ.
美味しい食べ方を発見したのでここに書きます.
まずとってきたヌメリイグチは,ゴミや虫をとるために
熱湯に入れて軽く湯がきます.
このときせっかくのヌメリがなくなるように思うかも知れませんが,
大丈夫です.真っ黒になったゆで汁をすてて,キノコをとりだし,
ゴミをとり足付きの部分を包丁で切り落とします.
柄を指で圧迫すると,切り落とした断面から虫君がニュルッとでてきます.
ヌメリイグチ本体はそれほど味がよい訳でありませんので,軽く味付け
した程度ではあまりおいしくありません.
醤油とみりん,そしてヌメリイグチだけを使って,すまし汁をつくります.
味はやや濃いめにつけた方が私は好みです.
じっくり煮込むと,まるで片栗粉を入れたようなとろみがでてきます.
どうやらキノコ本体の中にとろみ成分がたっぷりと含まれているようです.
すまし汁はやはり黒くなってしまうので色はよくありませんが,キノコから
よい出汁が出て,かつとろみがあり,キノコ自体もヌメリのある食感で,
とてもおいしい汁物になります.
野菜などいれずに,キノコ単体でつくったほうが,おいしいように思います.
それと,大きくなってしまったものよりも,親指の先ほどの大きさの開く前の
ものや小ぶりのものがいっそう美味しいように思われます.
ハチ北の大笹にある観光協会主催のキノコ観察会に参加.
フウセンタケの仲間など秋のキノコには,まだすこし早かったよう.
地元ではモトアシと呼ばれている,オニナラタケがたくさんとれた.
カエンタケがトチノキの立ち枯れの根本にたくさん生えているのには
驚かされた.皆このキノコが猛毒だということは知っていた.
また,倒木の上にホコリタケの仲間が生えているのもはじめて見た.
これは普通のホコリタケとは違い,直径が6cmくらいある大型.
山と渓谷社の写真図鑑には掲載されていない.
「北陸のきのこ図鑑」を参照すると,どうやらタマノウタケというものらしい.
まだ中が白かったので,皮をむいて鍋に入れる.はんぺんのような食感だが,
少し胞子臭いので不評.やはり,バターで炒めたりしたほうがおいしいのだろう.
この地域ではこのナラタケやナメコ,マイタケの他には野生のキノコを食べる
習慣がないようで,ハタケシメジやアミタケは見たのは皆はじめてだという.
アミタケを熱湯に入れると赤紫色に変わる様子は,とても受けた.
採集したキノコを使った鍋をしたところ,このアミタケが一番評判が良かった.
実は前日私が採ったもの.
ということで,鍋の後に,みんなでアミタケの生えている場所に再度
出向いて採集.これでハチ北にもアミタケを採る人が増えるかな.
昨晩は遅くまで雨がずっと降っていた.
今日は天気が回復したので,若いアカマツが植えられている
土手にいってみると,ヌメリイグチが顔を出していた.
小さなつぼみのような状態のものがたくさんあって嬉しい.
採りやすくて,しかもとても美味しいきのこだ.鍋によく合う.
それに毒キノコとも間違えにくい.
このあたりの人は誰も食べないみたい.
ただ注意するべき点が一つ.
自分は,これによく似たチチアワタケを食べると,必ず
下痢をする.(便秘したときに,下剤に使いたいくらい)
ともに似たような場所に生え,傘表面にぬめりがあるのも
同じなので,長い間混同していた.「ヌメリイグチ」を食べて
下痢するときと大丈夫なときがあるので,ずっと不思議だった.
チチアワタケは若いときは傘裏から乳がでるし,
ヌメリイグチにはある傘裏をおおう膜がなくて,そのため柄にも
膜質のツバがない.小さな状態では違いは歴然としているが
大きくなると傘裏の管孔の細かさ意外では見分けにくくなるので,
ついつい間違えてしまう.
明日はハチ北のキノコ観察会に行ってきます.
さて,どんなキノコに出会えるやら.
今日の朝日コムの記事に,
カビの胞子が時速90キロで射出されるという論文の紹介が
載っていた.
http://www.asahi.com/science/update/0919/TKY200809190091.html
「ふしぎな生きものカビ・キノコ―菌学入門」という本を読んでいて,
そこに担子胞子が放出されるメカニズムが詳しく紹介されているが,
あまりに早すぎて,放出の瞬間は映像に撮られていないと書かれていた.
今回の論文は,なんと毎秒25万コマ撮影可能なビデオカメラを使ったとのこと.
昨日見つけたへんてこなキノコの続きです.
2枚目は,あるいは別の種類かもしれません.
はじめは粘菌(変形菌)かと思ったのですが,
松本・伊沢著「粘菌ー驚くべき生命力の謎」によると,
粘菌の変形体は,
1)変形体の先端は,扇状に展開する
2)途中,網目状の連絡が見られる(菌類では菌糸束が途中で癒合して
網目状になることはない)
とのことなので,粘菌ではなさそう.
顕微鏡で見ると,たくさんの菌糸からできあがっているのがわかりました.
図鑑を見てもそれらしいものが見つからず,
せめてどの仲間かがわからない限り,ネットを使った画像検索もできずで,
全くお手上げ状態に.
それで,キノコに詳しい人に尋ねてみると,広義のコウヤクタケ科
ロウタケの仲間らしいことがわかりました.
あれ?シロキクラゲの仲間なんだ.
ロウタケ Sebacina incrustans
それほど珍しいものではないのだそうですが,今まで気づきませんでした.
いつも使っている図鑑にも載っていません.(「きのこ博士入門」には
小さい写真がでています.) ただし,この仲間には変てこなものがたくさん
あるのだそうです.
ロウタケやそれに似たキノコについての詳細は,「きのこ雑記」にて.
http://park16.wakwak.com/~fungi/zakki_index_daily/2003/030928_day.htm
http://park16.wakwak.com/~fungi/zakki_index_daily/2006/060626_day.htm
菌根をつくる腐生植物との関係で面白い記事がありました.
「Wikipedia」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%85%90%E7%94%9F%E6%A4%8D%E7%89%A9
「ベニバナイチヤクソウの糖の獲得に関わる菌糸ネットワークの解明」
http://ir.obihiro.ac.jp/dspace/bitstream/10322/1010/1/koue18fukukawa.pdf
(粘菌が専門のMさん,菌類が専門のDさん,Nさんには,同定そして参考に
すべきネットリソースについて教えて頂き,たいへんお世話になりました.
ありがとうございます.)
少しずつ読んでいる,マネー著「チョコレートを滅ぼしたカビ・キノコの話」
前著の「ふしぎな生きもの カビ・キノコ」よりはましだが,翻訳がなんとも
いいようのない酷さだ.日本語としてのリズムがおかしい文章なのだ.
編集者は手をいれていないのだろうか?原著は見ていないのだが,
とてもイライラさせられて,一気に読み進めることが出来ない.
あとがきをみると,「(訳出の)ご希望があれば,(中略)再度挑戦します。」
とあるのだが,ぜひとも別の人に訳していただきたい強く希望します.
それと,所々にでてくる「網」という用語.たとえば,173頁のさび病菌の
項では,『黒穂病菌の仲間はクロボキン網としてまとめられており,,,』とある.
分類に関することなので,もしかするとこれはクロボキン綱のことなのだろうか.
誤植なのではなく,同じページや次のページにも出てくるので,意識して
書かれているはず.もしかして,菌類ではこんな用語があるのかしら?
159頁にある「コムギ網なまぐさ黒穂病」は,網の意味がわからないが,ネットで
検索すると,たしかにこういう用語があるらしい.
網斑病という病気があって,これはオオムギにだけ生じるらしいのだが.
http://www.jppn.ne.jp/fukuoka/boujyo/futuu/1257.htm
有名な「きのこ雑記」というサイトの中に,毎日の事柄がつづられている
今日の雑記というコーナーがある.
そこに,採集旅行に出かけたときのキノコ乾燥機材が紹介されていた.
なるほど便利そうだ.http://park16.wakwak.com/~fungi/index/todays_zakki.htm
探す楽しみ
キノコを探す上で大切なのは,時と場所を十分に吟味することでしょう.やたらと歩き回ってもろくなことはありません.どこにどんなキノコが生えるかは,その場所の気候や環境,たとえばそこには生えいてる木はコナラやブナなどの広葉樹なのか,それともアカマツやスギなどの針葉樹なのか,尾根なのか谷筋なのか,あるいは地面はどんな土なのかといったことに強く左右されます.コケを採集するためにこれまでに全国のいろんな場所を歩きましたが,その間に一度たりともキノコにたくさん出会ったという記憶がありません.これはキノコのたくさん生える場所と,コケがよく生える場所が違うからです.関西にはアカマツやヒサカキ,ナツハゼ,ネジキ,あるいはコバノミツバツツジがよくしげっている乾燥した低山が多いのですが,そんな低山の尾根筋を歩いていても収穫はあまり期待できません.ましてそこがマツタケの産地であったりすれば,妙な誤解を生むだけです.それに,マツタケのとれる場所にはアミタケやオウギタケ,ヌメリイグチなどをのぞけばほかにあまりめぼしいキノコは出ないと思っていた方が良いのです.キノコ採りの名人が書いた本などを読むと,マツタケ探しの駄賃にホンシメジやそのほかにいろいろな美味しいキノコがとれると書いてあったりしますが,そんな場所はプロに任せておいて私たち素人は敬遠するに越したことはありません.マツタケに気持ちを奪われないこと,これがとくに関西でキノコ採集を楽しむ極意だと私はひそかに考えいます.
では,どこにいけばよいのでしょうか.最近とみにはやっているキャッチフレーズの受け売りのようではありますが,答えは「里山」です.それもコナラやクヌギ,そしてこれが肝心なのですがすこしばかり針葉樹が混じって生えている場所が良いのです.日本がまだまだ景気の良かった頃,あちらこちらの山の斜面を切り開いてにわか別荘地がたくさん造成されたことがありました.今となっては藪におおわれて,場所によっては道もなかばくずれかけたりしていますが,そんな場所が絶好のキノコ採集場所へと変貌をとげているのです.あるいは,小規模なスギの植林地もねらい目です.スギ林の中にキノコは少ないのですが,その奥の雑木林が狙い目なのです.小さな沢筋の植林地であればなおさら具合がよく,そこにはかならず仕事道があるはずですから,道づたいに奥にある広葉樹の林に入り込めば,他には訪れる人もまれな自分一人だけの秘密の場所を開拓できるかもしれません.藪をかき分けるのが苦手であれば,ただ山道を歩くだけでもいいのだが,人があまりいかない所を歩くのが肝心といえます.キノコ採集にはライバルが多いのです.
場所だけでなく,おなじように大切なのがタイミングです.キノコの本体は地下にひろがった菌糸で,地上に開いたキノコの傘はいってみれば花のようなもの,寿命が短いのです.無いときにはほんとになんにもありません.その反対に,多くのキノコ好きの人が経験していることなのですけれども,一年のある時期,それはもう山の中いたるところキノコで覆い尽くされるといっても大げさではない瞬間にいきあたることがあります.ある人はそれを「キノコの王国に迷い込んだ」と表現しています.そんな場面に行き当たるためには,日頃の努力と偶然を引き寄せる幸運とがかかせないのですが,雨が降って2・3日してから出かければ出会う確率は高くなると思います.もしそんな至福の場面に巡り会ったなら,かつて私がそうだったように,かならずあなたもキノコに夢中になることでしょう.
食べる楽しみ
これが一番難しいかもしれません.まず第一に,毎年いくような穴場でなければ,大人数で鍋を楽しめるほどおいしいキノコをたくさんあつめるのは容易ではないのです.
自分で名前を調べたキノコを食べるのも,かなり勇気が必要なことかもしれません.秋になりキノコ中毒の記事が新聞紙面をにぎわす頃には,なおいっそう怖じ気づきやすくなります.たかがキノコ,命や健康と引き替えにするほどのものじゃない.そう思うと,眼前のキノコに対する食欲が著しく減じます.キノコはその大きさや色,形が生える環境や生育の程度によって実に変わりやすく,図鑑の写真と絵合わせしてもこれだと名前を決めることができないことが多いことはみなさん経験されているかと思います.たとえばヒラタケ(栽培したものが「○○シメジ」の名前で売られている)は色も形も千差万別で,採ったものが図鑑の写真に似ていないことのほうがほとんどでしょう.ページを繰るうちに,中毒例の多いツキヨタケの写真につい目がいってしまい一層不安になるかもしれません.慣れてしまえばツキヨタケとヒラタケを間違えることはないのですが,そこが独学の悲しいところで,はじめの一歩が踏み出せないのです.また八百屋で売っている「もやし」のように育てたエノキダケしか知らないと,野外に生える本物のエノキダケを見てもそれと分かるのは難しいことでしょう.同じことは,ウラベニホテイシメジというキノコにも当てはまります.このキノコ,関西では全くといってよいほど人気がなくて,採る人もないままあちらこちらに虫に食われた残骸をさらしているのですが,キノコのなかでは特に大形になり,かつまとまって生えるますので,一度みつけるとそれだけでかご一杯にあふれるほどの収穫があります.多少粉っぽいというのが欠点ですが,かるく煮こぼしてから味付けしてやると,独特の歯触りの良さを楽しむことができます.さてこのウラベニホテイシメジ,図鑑を調べてみると,とてもこわい毒キノコのクサウラベニタケ,あるいは同じく毒キノコであるイッポンシメジとそっくりと書いてあります.手にとってよく見ると,ますます違いが分からなくなります.せっかく山ほど採ってはきたのだけれど,君子危うきに近寄らず,みな捨ててしまうのがオチです.私はこのキノコを食べる勇気がでるまでに,結局3年かかりました.これもまた,独学の素人の悲しさです.
結局のところ,キノコに詳しい人と一緒に出かけるのが一番ということなのですが,なかなか良い場所には連れて行ってもらえないと思っていた方がいいでしょう.そこは彼や彼女の大切な秘密の場所なのですから.しばらくは近所の八百屋で買ったシイタケを食しつつ,いつかはやって来る「幸せ一杯・かご一杯」の時に想いをはせることにしましょう.実をいうと,私もシイタケが一番おいしいキノコだと確信しているのです.
大阪自然史博物館 佐久間氏のページにある情報
「標本の作り方 キノコその1」
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/sakuma/specimen.html
『液漬標本はもとの形や色がよく残り,展示などには役に立つ。私の研究室ではエタノ-ル:ホルマリン:水(25:5:70)混合液を用いている。イグチ類の一部ものから,色素が解け出して液が汚れるが,他の大部分のきのこは20年近くたっても良好な状態で保存できている。』
なるほど,そうなんだ.続きを早くだしてくれないかな.